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Netflix デスノート ― しっかり作って欲しかった...

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最近配信されたばかりなのかな、Netflix版デスノート拝見いたしました。
感想を書くことも、ままならない状態に陥っています。
ライト役がナット・ウルフは、「へぇ、面白いんじゃない?」くらいに考えていました。
ところが、俳優云々より 脚本が、酷すぎていたたまれなくて...
なんとかいいとこを見つけようとしても、無理みたいです。

ちなみに脚本は、
    Charles Parlapanides
    Vlas Parlapanides
    Jeremy Slater
上記お三方が担当したようです。
(Jeremy Slaterさんは「ラザロ・エフェクト」の脚本のかた)

感想は、こちらを参考とさせてくださいませ。

【炎上】ハリウッド版「デスノート」があまりにもアホすぎて視聴者ブチギレ激怒!
ライトとLがバカ! 登場人物が全員無能(笑)



愚行録 ― この世界は「格差社会」ではなく「階級社会」だ

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だいぶ前に、Huluで尾野真千子主演の『フジコ』というドラマを見ました。
一家惨殺事件から生き残った1人の少女のお話でした。
イヤミス呼ばれる小説の映像化です。
本作『愚行録』も同名小説の映画化で、一家惨殺事件を多面的に描いた作品です。

愚行録

監督: 石川慶 / 製作年:2016年


ストーリー
ある一家を襲った惨殺事件。被害者はエリートサラリーマンの田向浩樹(小出恵介)を筆頭に、美しい妻 友季恵(松本若菜)と1人娘の3人だった。
その後捜査は難航。
そんな田向一家殺害事件の真相を突き止めようと動き出した週刊誌の記者がいた ―― 田中武志(妻夫木聡)だった。
彼は子供の頃から妹 光子(満島ひかり)とともに親に虐待され、光子は育児放棄で我が子を瀕死の状態に追い込み留置されているという闇を抱えていた。
田向夫婦を取り巻く人間関係を追うに従い、幸せで何の曇りも見えるはずのない彼らには、それぞれ闇があることを突き止めていく田中。
恨み、憎しみ、嫉妬…負の連鎖が渦巻き、事件は田中をも巻き込み恐ろしい展開になる……。

キャスト
・田中武志/妻夫木聡
・田中光子/満島ひかり
・田向浩樹/小出恵介
・夏原友李恵(田向の妻)/ 松本若菜
・宮村淳子/ 臼井あさみ
・稲村恵美/ 市川由衣
・尾形孝之/ 中村倫也

スタッフ
監督:     石川慶
原作:     貫井徳郎
脚本:     向井康介
音楽:     大間々昂

製作年度     2016年
上映時間     120分

光子の弁護士役の濱田マリ
『悪人』では、金髪でGT-Rに乗った無口な男役の妻夫木さんに殺されてしまった満島ひかりさんでしたが、今回は兄妹役です。
『愚行録』が公開されて間もなく、小出恵介さんが或る問題を起こして、上映が途中で打ち切りになってしまったようです。
その小出恵介演じる田向という男が、エリートの皮を被った最低男でして...リアリティあるしで、見ていて笑ってしまいそうだけどそれもなんだかなぁというカンジで、ちょっと複雑でした。
旦那さんだけでなく、妻の友季恵がこれまた優しい顔をした魔女のような女で、その周りにハエのごとくイヤな奴ばかり集っています。
出てくる俳優、皆、イヤな人間を半端ない演技力で演じきっています。
特に、宮村淳子(臼田あさ美) ―― あの演技は、脳裏に焼き付いて離れません。
取材を通して、しれーっと
「ああいう死に方って夏原さんらしいと思ったんですよね」
とか、田中がピクピクっと引きつるようなセリフを残しています。
臼田あさ美に関しては、今後憎まれ役専門女優になるんじゃないかと心配になるくらいです。

恐ろしいくらい迫真の演技、臼田あさ美


田向夫婦の過去を追っていくと周りは、自己顕示欲とエゴの絡み合いで、その犠牲になって何人かはかなり心に傷を追っているかと思います。
その中に田中に関わる人間がいて、冷静に取材していた彼も途中でいきり立って、とんでもないことに ――
その先は、ネタバレになるので言えません!
満島ひかりの指が印象的なシーン
実は、人格が破綻しているような田向よりもさらに恐ろしさが見え隠れしているのが、田中と妹 光子です。
冒頭のバスの中での田中のある行動には、思わず「え?」という感じになりますし、光子の虚ろな目がなんとも得体が知れなくて怖いのです。

「秘密は大好きだよ」
と繰り返す光子に、隠微さを孕んだ何かが見え隠れしています。
光子だけでなく、田中兄妹の目の中には生きることを半分見限ってしまったような、空っぽさを感じるんですね。
この映画、イヤミスに入ると言えばそうなのかもしれないけれど、いくつか心に残るセリフがあります。

臼田あさ美演じる宮村淳子がいう
「日本は格差社会じゃなくて、階級社会なんですよ」

そして、田中の
「人生は平等だなんて思ってないけど、希望くらい持ってもいいじゃないですか。
その希望すら打ち砕く悪魔のような人間がこの世にはいるんです」

田中にとっての“悪魔のような人間”とは誰なのか。

一家惨殺事件の背景には、階級社会という目に見えない問題が関わっている気がします。
宮村淳子や夏原友李恵が通う大学には、スクールカーストとは別の階級社会が存在していました。
他の地域から実力で大学に合格した生徒は、付属の学校からエスカレーター式に入学した生徒(内部生と呼んでいる)よりも下の地位になるというものです。
そんな人間の愚かさ・醜さを描いてはいますが、内実はもっと社会全体に問いかけてくる作品です。
ラスト20分で怒涛のように衝撃がやってきます。

満島ひかりが、少し前に資生堂「専科」のCMに採用された理由が、この映画をみてよーくわかりました。
1人語りは、この人の右に出る人はいないと思いました。

涙涙のとんこつ娘、満島ひかり



「3度の衝撃!」愚行録 予告編




何者

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息子のご要望にお応えして見て参りました、「何者」。
出演者が
    佐藤健
    有村架純
    二階堂ふみ
    菅田将暉
    岡田将生
    山田孝之
とやたら豪華なので、例によって集めるだけ集めて中身がない作品になっているのではないかという、イヤな予感は否めませんでした。
しかしながら、原作 朝井リョウということなので面白い群像劇に仕上がっているのかなという期待もほんのちょっぴり。
「まぁ、菅田将暉くんでも愛でに行くかぁ」
ってノリででかけました。
あらすじ
御山大学演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人(佐藤健)。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎(菅田将暉)。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月(有村架純)。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香(二階堂ふみ)。就活はしないと宣言し、就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良(岡田将生)。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた22歳の大学生5人は、理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まる。海外ボランティアの経験、サークル活動、手作り名刺などのさまざまなツールを駆使して就活に臨み、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就活に励む。SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする本音や自意識が、それぞれの抱く思いを複雑に交錯し、人間関係は徐々に変化していく。やがて内定をもらった「裏切り者」が現れたとき、これまで抑えられていた妬みや本音が露になり、ようやく彼らは自分を見つめ直す。
WIKI

一見、就職という最終目的地にむかって協力し合う若者たちの青春ドラマかと思いきや、実は妬みや他者を客観的に眺めて嗤うようなドロドロした負の感情がSNSというツールを駆使して渦巻いている世界。
常に身の回りの出来事をツイッターでつぶやいている若者たち...
これって、現実の世界でも珍しくない光景なんじゃないか?そう思えてきます。
同じゴールに向かい一致団結して5人のワイワイやってる楽しげなシークエンスは、若干冗長にも見えるかもしれませんが、徐々にその笑顔の裏に何か不穏な影が見えてきます。
特に、拓人(佐藤健)がやたらとスマホを放せない状況は、みんなに親切にアドバイスしてるのってもしかしたら...って心配になってきます。

「学生時代に打ち込んでいた演劇を続けたい。でも、周りが就活をのり切っていい企業に就職して行く中でその生き方はカッコ悪過ぎるだろう。
そんなカッコ悪いことオレにはできない!」
これが拓人の本音だと思う。
拓人が同じ演劇サークルで活動していた銀次をLINEやツイッターを使ってやたらと蔑んでいるのは、拓人が理想としながらもできないことをやっているからだろう。

で、お目当ての菅田将暉くんですが...
まさに「そこのみにて光輝く」で演じた拓児のようなイヌっぽいキャラ。
バンド活動をしていたけれど敢てそれをやめにして、拓人に就活のノウハウを伝授されながら邁進する毎日。
「助かったわ、ありがとなぁ〜!」なんて無邪気にいつもキャハキャハしているが「そこのみにて...」の中で見せたように、“見ているところはちゃんと見ているぞぉ〜”という鋭い側面もある。
相変わらず、いい演技を見せてくれました!

「拓人と里香 (二階堂ふみ)に何かが起こるぞ」という空気が常に流れていたので、より不穏さを感じさせています。
ところが、ラストでは里香だけじゃなくて他の登場人物を巻き込んで怒涛のごとく拓人を中心としたドワ〜ッがやってきます。
まるで「レクイエム・フォー・ドリーム」のラストのようでした(汗)
映画自体が拓人を中心に据えた舞台をみるような作り方がなされています。
「何者」というタイトルが非常に面白いですが、最初は「お前いったい何者なんだよ!」って拓人に向けられているのかと思えば、“就活をしている人々=まだ何者でもない”とも取れます。
はたまた、SNSにたむろして目立つかっこいいツィートをしたい“何者”のこととも受け取れたりもします。

ラストが秀逸で、音楽が例の中田ヤスタカさんの音楽であるせいか、エンドロールが終わるまで誰も立ち上がりませんでした。(少し驚き !!)
就活を経験したことがない私も自然に泣いていました。
原作は、近いうちに読んでみたいですね。
朝井リョウさんの本はまだ一冊も読んだことがないのですが(たぶん)、群像劇が得意なのかも。もしかしたら、学生時代に舞台の脚本など書いていたのかな。

生きることに「かっこいい」も「かっこわるい」もない、自分の行きたい方向にがむしゃらに進んでいくことに、極上のストーリーがある。

なーんちゃってね。

いい作品(モノ)見させて頂きました、息子に感謝!
と思いながらも 「見たい、見たい」と騒いでいた息子が、劇場を出た後に「意味わかんなかった」って言っていたのがショックでした。
ラストの音楽だけノリにのって聴いておりました^^;
帰りの車の中で何を言おうとしているのかを、おおまかに説明しておきました。

帰り際に、劇場のトイレで20〜30代くらいの女子が

「私、ツイッターのメアドで検索するヤツ、オフにしとこ!」
「え? そんな機能あったの ?!」

っていう会話が面白かったです。







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だれかの木琴 ― 奥さん、それ相当ヤバいですっ!

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金曜夜9時からのWOWOW ウィークエンドエンタ!で初めて視聴しました。
最初、池松壮亮の演技が目的で見始めましたが、すっかり常盤貴子に魅せられました。

だれかの木琴

監督: 東陽一 / 製作年:2016年

ストーリー
主婦の小夜子(常盤貴子)は、夫の光太郎(勝村政信)と娘と共に東京郊外に引っ越したばかり。
初めて訪れた美容院で美容師 海斗(池松壮亮)と雑談しながら髪をカットしてもらった。
帰宅後、海斗から営業メールが届いた。それに返信した小夜子は自分でも理解しがたい感情が湧いてくるのだった。
それをきっかけに小夜子は海斗に執着し始める。
その行動がエスカレートするにつれ海斗だけでなく光太郎、娘、海斗の恋人・唯(佐津川愛美)までも巻き込んでいき、思わぬ結果に……。

キャスト
常盤貴子 / 親海小夜子
池松壮亮 / 山田海斗
佐津川愛美 / 海斗の彼女
勝村政信 / 親海光太郎

スタッフ
監督・脚本・編集:東陽一
原作:井上荒野
撮影:辻智彦
制作プロダクション:シグロ / ホリプロ
配給:キノフィルムズ
製作年:2016年
製作国:日本
日本公開:2016年9月10日




昼間から夫婦で何してるんですか^^;

夫 、娘に囲まれて不自由なく一戸建てに暮らす小夜子。
そんなどこにでもいるような主婦があることをきっかけにたがが緩んだように変化していくさまを描く。

夫 光太郎は仕事で忙しく妻とゆっくり会話をする時間もない。
娘は中学生、親をうざがるお年頃。
夫としては一応体裁よく妻を気遣ってはいるのだが、心ここにあらずといった感じが伺える。
妻はそれに気付いている風だ。
ただね、忙しい中でも昼間から「ごっこ遊び」みたいなエッチしたりしてたり...なんか妙な夫婦。
引っ越したばかりで話し相手もなく、1人取り残された感に囚われていく小夜子を捉えたのは、そう ―― よくある業務用のお世辞まじりの会話で笑って、心地よくなって気が紛れることがある。アレだ!
髪にほのかに残るシャンプーの香りと海斗との楽しい会話が小夜子の心に入って絡みついて離れなくなる。
小夜子は海斗が営業で送ってきたメールに返信し、何度かメールをやり取りするうち、美容院にイタズラ電話を掛けるようにもなる。
2週間しかだっていないのにまた美容院を訪れ、雑談で何気に海斗が口にした「メゾネットタイプのアパートに住んでいる」と言っていた自宅を訪ね、ドアノブにイチゴが入った袋を引っかけて置いて来る。
ヤバい、これはヤバいことになる!
だんだん、見ながらざわざわしてくる。
さすがにここまでやってしまったら、ストーカーに限りなく近いでしょう⁇
この一連の行動は見ていて痛々しくもあるのだが、本人は悩んでいる風もないし、しれーっとしているのだ。

唯は海斗のどっちつかずの態度に穏やかでない

実は彼女は海斗に一切恋愛感情は抱いていないから、なおさら厄介だ。
彼女にしてみれば、唯々たわいもない話をしていたいだけなのに――
そして、とうとう大変な事態になる。
海斗の彼女 唯(佐津川愛美)がいる時にアパートに押しかける、偶然ではあるのだろうが。
海斗の彼女が感情剥き出しで談判をしに、小夜子の自宅を訪ねる。
どうなることかとハラハラしたものの、
夫は
「私の妻はそんなことをするような人間ではありません」
という、至って冷静な対応で予想外の結果に――
このダンナ、本気で心配してないな...というよりも的外れで妻の心が分かってないんだろうな。
いやいや、取り繕っているだけなのかもしれない。

小夜子の行動は少し行き過ぎだ。
しかしながら、世の人々は心に寂しさを抱えて生きていて、人に何か伝えあい何かを返してもらう(反応してもらう)ことで安らぎを求めているのだと思う―― 全く同じ寂しさではないにしても、そしてさすがに小夜子のような行動には至らないだろうけれども。
彼女が純粋というか、本人が真面目であればあるほど見ている側はドキドキもしつつ、何やら可笑しくもなってくる。

小夜子だけなく、海斗は営業用の会話で体よくうまくやっていて、ちょっとくらいヤバイ客も職業上断らないのだ。
ところが、彼は彼で必死に抑え込んでいるがヤバイ内面を持っている ―― 映画の中では詳しくは語られないところだ。
相変わらず得体の知れない人物を演じさせたら面白くなる俳優、池松壮亮...さすがだ!
ボソボソ言うセリフの言い回しがMOZUの新谷と同じでこれだわぁっ〜て感動 !!
常盤貴子さん。
もちろん大人の女性なのだが、彼女の顔の造り―― 特に鼻の下から顎にかけて―― が童女のようなので、この役はぴったりだと思った。

ラスト近くで、小夜子の娘が未来の小夜子たるを思わせる台詞を言うのだが、ドキッとさせられつつこれまた面白い。
好みの作品でした。








悪人 ― 美と醜のコントラスト

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いきなり満島ひかりが殺されてしまう驚き
そして、田舎の“後継問題”は切実だ


スカイライン GT-R33、ナンバー33を乗り回す無口で暗い祐一(妻夫木聡)。
小学校時代から国道沿いを行ったり来たりしながら人生の大半を過ごしてきた地味な女 光代(深津絵里)。
この2人を中心に、それぞれの運命は動き始めます。
以前見て、陰鬱に物語は展開していきつつ、胸を打つシーンやらセリフがあるのを記憶していました。
親元を離れ、都会を謳歌する佳乃(満島ひかり)がとんでもないビッチの性悪で、殺されて遺体が見つかるという強烈な映画です。
もう一度見たいと思いつつ数年がたってしまいました。
先週、WOWOWシネマで『妻夫木聡が観たい!』という特集で久しぶりに観ることができました。

腹黒い、親不孝、そしてウザい女 佳乃

悪人

監督: 李相日 / 製作年:2010年

ストーリー
保険外交員 石橋佳乃(満島ひかり)が殺される事件が起きる。
解体業をしながら祖父母と暮らす 清水祐一(妻夫木聡)が犯人だった。祐一は別の女性 馬込光代(深津絵里)を連れ、逃避行をするのだった…
当初、容疑者は裕福な大学生の増尾圭吾(岡田将生)だった。増尾の供述と新たな証言者も現れ、容疑の焦点は祐一に絞られる。

キャスト
清水祐一 - 妻夫木聡
馬込光代 - 深津絵里
増尾圭吾 - 岡田将生
石橋佳乃 - 満島ひかり
佐野刑事 - 塩見三省
久保刑事 - 池内万作
矢島憲夫 - 光石研
清水依子 - 余貴美子
清水勝治 - 井川比佐志
堤下 - 松尾スズキ
馬込珠代 - 山田キヌヲ

スタッフ・作品情報
監督: 李相日
脚本: 吉田修一 李相日
原作: 吉田修一
製作: 島谷能成 服部洋
町田智子 北川直樹 宮路敬久
堀義貴 畠中達郎 喜多埜裕明
大宮敏靖 宇留間和基
撮影: 笠松則通
音楽: 久石譲
主題歌: 福原美穂「Your Story」
編集: 今井剛
製作会社: 東宝映像制作部
配給: 東宝
公開: 2010年9月11日



ズーンとくるのは、ラスト近くの祐一と光代が海を見つめて涙するシーン ―― 本作の全てが込められている気がします。
ほんの数日一緒にいただけの2人の人生におけるハイライトとも言えるシーンで、初めて大切な人と「一緒にいたい」という想いが通じ合う。
そして、佳乃の父親(柄本明)が、増尾に言う
「今の人間は守るものがないから、人を嗤って強い気でいる」
ここ一番のセリフが胸に響きます。

人として生きる遣る瀬無さが描かれていて、運命に翻弄される人たち
祐一
光代
佳乃
祐一の祖母
佳乃の父
増尾


演じる俳優たちが、皆名優で類いない演技を見せてくれます。
人を殺めるのは悪いことだが、それ以上の悪人とは?
自分以外の人間を軽んじること ―― 殺すという方法を使わなくても、人を殺すと同等のことは尊厳を踏みにじる行為。

佳乃を車から蹴り出す最低男 増尾

母親(余貴美子)に捨てられた祐一をわが子のように育てた祖母(樹木希林)の想いは理解はできるのです。
ただ遣る瀬無いのが祖父母は孫を十分理解しておらず、頼り切って不自由にしていまっていること。
祐一がもっと自由だったなら、出会い系などを利用することもなかったかもしれない。
祐一みたいな人間は田舎ではよく見かけます。
(出会い系の問題ではなく、親に頼られて縛られているという意味です)
自分の人生よりも親や家を優先しなければならない、それを強いられる人たち ―― そういう知人も自分の周囲には少なくありません。
長男だからといって、家や土地を継がせられ一生親の面倒を見て過ごす人生。
親は幸せだろうが、家から離れられない子どもの行く末はどうなる?
老老介護⁇
そんなことも考えさせられます。
相手が親兄弟でも恋人にしても
「人を愛すること、大切に思うこと」の切実さが伝わってくる映画です。

誰が悪人かではない ――
誰でも心の中に隠し持った悪が存在するし、気高い心もあります。
悪の部分を出さないように、バランスをとりながら生きています。

ふかっちゃんがいいっ!
「カバチタレ!」「恋のチカラ」の時のような、透明で消え入りそうな声で話す必死なふかっちゃんが見られて嬉しいです。
ちなみに「カバチタレ!」では常盤貴子さんの弟役の山下智久さんが、カメラに向かってお尻が丸出しという驚きのシーンがあります。(第二話)
今では考えられませんよねぇ😆



    

怒り ― 豪華俳優陣の演技がすごい…

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ある事件の手配写真で崩れていく信頼関係
人を信じることの難しさ


全くつながりのない人たちと3つの場所 ――  東京 沖縄 千葉。
その中の誰か1人が殺人事件の犯人かもしれない。
それぞれのストーリーが展開される群像劇。
再び、WOWOWシネマ『妻夫木聡が観たい!』特集で鑑賞しました。

怒り

監督: 李相日 / 製作年:2016年

ストーリー
八王子郊外で若い夫婦が自宅で惨殺され、犯人は逃走した。1年後、房総、東京、沖縄に身元不明の3人の男がそれぞれ現れ、訝られながらも次第に周囲に受け入れられ、それなりの人間関係が作られていく。ある日、警察が八王子事件の犯人の整形手術後のモンタージュ写真をテレビ番組で公表したのをきっかけに、それぞれの人間関係に揺らぎが生まれはじめる。
wikipedia

キャスト
    千葉
        槙洋平 - 渡辺謙
        槙愛子 - 宮崎あおい
        田代哲也 - 松山ケンイチ
        明日香 - 池脇千鶴
    東京
        藤田優馬 - 妻夫木聡
        大西直人 - 綾野剛
        藤田貴子 - 原日出子
        薫 - 高畑充希
    沖縄
        田中信吾 - 森山未來
        小宮山泉 - 広瀬すず
        知念辰哉 - 佐久本宝
    その他
        南條邦久 - ピエール瀧
        北見壮介 - 三浦貴大
        早川 - 水澤紳吾

スタッフ・作品情報
監督:    李相日
脚本:    李相日
原作:    吉田修一
製作:    市川南
音楽:    坂本龍一
撮影:    笠松則通
製作会社:    東宝映画
公開:    2016年9月17日

東京 ― 妻夫木聡の演技力に注目!




原作 吉田修一 監督 李相日の「悪人」コンビ再び!
俳優陣の中には、妻夫木聡。
今回はゲイの役で、最近めっきり演技の幅を広げている。
そのほかにも、豪華俳優陣が勢ぞろい ――  渡辺謙、宮崎あおい、綾野剛、森山未來、広瀬すず...といった顔ぶれ。
みんな存在感がある演技が素晴らしくて、まさしく演技合戦。

千葉 ―宮崎あおいの表現力はすごい!

群像劇の手法を考えたとき、進行中のロケーションの切り替わり方が海外作品で見てきた既存の手垢のついた手法という印象も否めない。
3つのストーリーをバラバラで見るとよく作り込まれていて、各々の想いは伝わってくる。
しかし、なぜだろう ――
全体として一本の映画としての纏まりに欠けていて、どことなく伝わってくるものが希薄というかスキを残しているというか ―― 落とし所が弱い印象を受けた。
各ロケーションを結びつけるのが森山未來、松山ケンイチ、綾野剛にどことなく似ている指名手配写真というのがが姑息なのか。
その写真によってに信頼関係がぐらつき出し、築きあげた人間関係が一気に崩れていく ―― 3つのストーリーともに。
そこが、なんとなく画一的なのだろうか。
人を信じることの難しさのようなものが描かれているんだとは受け取れたが。

沖縄 ―沖縄という土地についても考えさせられるところ

「怒り」というタイトルの意味を考えた時、あの壁に描かれただけのあれだけならば、やっぱり物足りないし十分伝わってこない。

個々の俳優たちについては熱演で日本を代表する演技者たちの競演だ。
特に宮崎あおい、妻夫木聡、綾野剛が素晴らしい!
その中でも、さらに光っているのが宮崎あおいだ ――
私の中では今まで何の関心もなかった女優さんだが、一気に順位が上位に跳ね上がった。



蔵の中 ― 金田一が出ない横溝作品

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けれん味に固執するがあまり原作の世界を壊してないか?!


リアルタイムで劇場で鑑賞した映画です。
その頃、まだ私の中では横溝・角川映画ブームは消えていなかったし、横溝作品については“金田一もの”でない本作が新鮮だったのでしょう。
当時ニューハーフとして話題になっていた松原留美子が、主人公 笛二の姉役で出演するということもあって、好奇心と期待で公開が待ち遠しかったことを記憶しています。
映画を見ている最中も、逆光でヒゲの剃り跡が青く見えないかとかチェックしたり。
そんな映画を取り巻く瑣末なことは覚えているのに、映画のラストを忘れてしまっていたという信じられない状況です。
久々に映画『蔵の中』をみて、当時の自分の反応を思い出しながら初見のような新鮮な気持ちになったりもしました。

蔵の中

監督: 高林陽一 / 製作年:1981年

ストーリー
評論雑誌「象徴」の編集者 磯貝(中尾彬)のもとへ蕗谷笛二(山中康仁)という青年が原稿を持ち込む。
普段は持ち込みの原稿は読まない主義の磯貝だが、原稿を読まないうちは転地療養に出発できないという。
磯貝は独特の風貌をした青年に憑かれるように原稿に目を通し始める。
そこには、胸の病(結核)を患う姉小雪(松原留美子)と弟笛二の信じがたい真っ暗な蔵の中での暮らしぶり ―― そして磯貝自身まで登場するのだった。

キャスト
蕗谷笛二     / 山中康仁
小雪     / 松原留美子
磯貝三四郎     / 中尾彬
お瀞     / 吉行和子
真野玉枝     / 亜湖
おみね     / 小林加奈枝

スタッフ
監督     高林陽一
製作     角川春樹
プロデューサー     山田順彦 、 稲葉清治
原作     横溝正史
脚本     桂千穂
撮影     高林陽一  津田宗之
音楽     桃山晴衣
美術     井川徳道

小雪役にニューハーフの火付け役 松原留美子


まず、出演者がいいです!
 亜湖さんとか...百恵ちゃんのドラマに脇役で出たりしてて懐かしいって感じ!
例によって本作でもちょっとしか出ないけどエロい役ですよ。
(沢田研二の『ときめきに死す』にも出てましたね。)
中尾彬さんは、原作ではここまでエロ臭だしてないだろってくらいイヤらしさ全開です。
本作を監督した高林陽一監督の『本陣殺人事件(1975)』で金田一耕助を演じていました、しかもジーンズ姿という軽装で。
高林監督といえば、谷崎潤一郎の小説を映像化したような独特の世界を作り上げていますが、本作でも御多分に洩れず、その路線です。
ただ、私個人としては当時劇場で見たときは絶賛だったのはずですが、今見ると手放しで褒められないという感想です。
小説の中の世界感を若干崩してしまっている気がします。

病を忘れて覗きに夢中になる姉弟


以下、かなりネタバレに近いのでご注意ください!

真っ暗な蔵に白い肌
白い肌に真っ赤な血
次第に狂っていく美しい姉

笛二と小雪は原作にはない、近親相姦の関係になってしまいます。
原作本でもそれを想像させているので許容範囲だと思います。
病気が進行していく姉 小雪との蔵の中での一連の出来事と蔵の窓から遠眼鏡で覗き見した信じられない光景(磯貝が殺人を犯してしまう)との平行進行は少々いただけません。
けれん味を出しすぎ雰囲気重視がすぎて、全体を眺めるといささか中途半端な出来になってしまったようです。
姉が血を吐き瀕死の状態なのに、他人の痴話の覗きはどうなのかな? と考えてしまう。
雰囲気はいいのです、ヒッチコックの裏窓的な遠眼鏡での覗き、その先に繰り広げられる男女の表には俗っぽくもあり、子どもが覗いてはいけない禁断の世界。
吉行和子の婀娜(あだ)さと中尾彬のいい男っぷりが最高です。

今、時代が流れて見直すと、耽美的美しさで色香を漂わせていたはずの松原留美子が妖艶を通り越して怖いです。
時々、怒った表情をするところが特に恐ろしい ――
美しい女優さんに見慣れてしまったためか、今見るとさほど美しさも感じられないのだが。(角度によっては男顔になるし)
読唇術で聾唖の姉が話していることを読み取るはずが、姉の口が動いていなくても勝手に読み取っている不思議は、もはや笛二の想像の世界だった ――
ラストは、小説とは違っています。
ギョッ!とします 。

ラストでは磯貝の目の前に信じられない光景が!

しかしながら、こういう映画を今「作れ!」と言っても作れないと思いますよ、うん。
そういえば、遠眼鏡で覗く風景の中に大林宣彦監督と角川春樹氏がカメオ出演しています。

10代の頃夢中で見たテレビドラマや映画って、やはり特別なのですよね。

本陣殺人事件 ― ジーンズ姿の金田一耕助に惚れる

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映像京都スタッフによる極上の映像美に酔しれる


中尾彬と金田一耕助とは、イメージ的にちょっと違うのではないかとしばらく見るのを避けていた映画です。
しかしながら、一度見て見ると意外にも金田一の服装がずれてるわりには違和感なく入り込める ―― それどころか“中尾金田一”魅力的でさえありました。

制作は、先日アップした『蔵の中』の高林陽一監督と横溝正史シリーズで知られる映像京都のスタッフです。

ストーリー
山間の集落、広い敷地のある一柳家は江戸時代から続く旧家である。事件は長男の賢蔵と久保克子の婚礼の日、恙なく終わった式後の未明に起きた。離れに休んだ若夫婦の部屋から、克子の悲鳴があがったのだ。駈け付けた家族が見たものは、日本刀で斬りつけられた克子と側に倒れる血まみれの賢蔵の姿であった。やがて、この「本陣殺人事件」を担当した磯川警部により依頼を受けた私立探偵・金田一耕助がやって来る。複雑怪奇な人間模様に絡められたこの事件を、果たして金田一は解決することができるのか。
allcinema ONLINEより)

キャスト
        金田一耕助 - 中尾彬
        一柳賢蔵 - 田村高廣
        一柳三郎 - 新田章
        一柳鈴子 - 高沢順子
        一柳糸子 - 東竜子
        一柳良介 - 伴勇太郎
        一柳秋子 - 山本織江
        久保克子 - 水原ゆう紀
        久保銀造 - 加賀邦男
        田谷照三 - 石山雄大
        三本指の男 - 常田富士男
        磯川警部 - 東野孝彦
        白木静子 - 村松英子

スタッフ
監督:   高林陽一
脚本:   高林陽一
原作:   横溝正史
製作:   高林輝雄 西岡善信
撮影:   森田富士郎
美術:   西岡善信
音楽:   大林宣彦

犯人は直接書いてませんが、真相に触れることは書いています!ご注意を!!

一柳家の跡取り賢蔵の祝言の晩に悲劇が!

齢四十にして結婚を決めた男、一柳賢蔵(田村高廣)。
自分以外の人間を見下し、嫁いできた妻 克子に対してもとある理由から憎悪を煮えたぎらせていた事実は事件そのものより衝撃を受ける。
旧家に生まれ育ったがゆえのプライドの高さ ―― 反面、人間的に未成熟なままの賢蔵の傲慢さが後半で次第につまびらかになっていく。
しきたりなど家柄を重んじ、よそ者を排他的に扱う一族・人びとの描き方が高林監督ならではで、殺人事件という内容の物物しさと反してアルカイックな雰囲気を漂わせている。

舞台となる閉塞的な社会から隔絶し、別世界に生きる鈴子(高沢順子)のみが心ある人間として描かれ彼女が花や自然の中で戯れるシーンはある意味イメージビデオのよう ―― 映像美にうっとりしつつ、山あいの風景の穏やかな懐かしさが心に沁み込む。
対して脈打つような低音を奏でる水車の音は、人の心の裏側の細波を表現しているのだろう。
密室殺人のトリックは原作でも秀逸なところだが、そこにとどまらず人間の内面を無上の映像であぶり出していく。

このフィルムの色合い、FUJI pro400Hっぽい!

テレビでおなじみの時代劇を得意(『木枯らし紋次郎』『座頭市』)とする映像京都制作で、既存の映画版金田一作品とはひと味ちがう佇まいを持つ作品だ。
(横溝正史シリーズを手掛けたのは、映像京都である)
俳優陣も知名度が低いが、久保銀造役の加賀邦男などは子供の頃見ていた時代劇で脇役としてしばしば目にしていた俳優さんだったりする。
磯川警部を演じた東野孝彦は、東野英治郎の息子でのちの東野英心である。
三本指の男については、個人的には横溝正史シリーズの草野大悟さんが合っていたと思います。

今こそ「必殺シリーズ」に回帰する!

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私が「必殺シリーズ」と初めて出会ったのは小学校低学年の頃だ。
母親がクラスの秀才の女の子が書道を習っていることを知り、私もその子と同じ塾に通わせることを決めた、その時期だ。
水曜と土曜の週二回。気が進まない書道塾に通うことになったその頃、土曜の午後1時〜2時までの時間帯に「必殺シリーズ」の再放送が放映されていた。
ちょうどお昼ご飯を食べ終えて塾の時間までダラダラと待っている時間だった。
一番初めに見たのはおそらく『助け人走る』だと記憶している。

我が家は、父親の帰宅が夜遅くなる ―― しかも不定期なので母親が子守がわりにテレビを見せておいたものだった。
それでも普通であったら、子供の面倒は家庭を守るべき母親がしっかり見るところであっただろうが、そうではなかったのだ。
そんなこともあって、時代劇やドラマは意味もよくわからないうちから見ていたのだ。

多くの時代劇は、勧善懲悪で成り立っていて最初は面白楽しく見ていても、次第にドラマの流れがわかってくる。
主人公は、悪を憎みそれを挫いて行くのが仕事で、妻は必ずと言っていいほど良妻である。
幼いなりに次第に
「昔はこんな人たちばっかりだったのか?そんなはずないだろう?! 」
という不埒な疑問が湧き上がってくるものだ。
そんな状況下に出ててきたのが「必殺シリーズ」だ。
登場人物は、お金をもらい闇の稼業を請け負う。
従来の時代劇のようにありきたりの殺陣を長々と見せるのではなく、斬新な殺し技が登場する。
マンネリの時代劇に新風を感じたのだった ――

近頃、テレビがついぞ面白くないのだ。
そこで、急に思い立って幼い頃に胸躍らせた時代に回帰することにしたのだ。
ここのところ気づけば時間がある限り「必殺シリーズ」を真剣に見ている。
子供の頃見ても深い意味がわからなかったことや、受け流していたセリフが深く懐に入ってくる。
オープニングにシリーズ特有のナレーションが入り、劇中の音楽一つにしてもフュージョンっぽい音作りでスタイリッシュ。

当時、元締の役は山村聰が好きで『必殺仕事人』になってからの元締 鹿蔵(中村鴈治郎)はイマイチだとあまり力を入れて見ていなかった。
それが今改めて見ると、至極いい!
ひとつひとつの演技やセリフがとにかく沁みるのだ。

必殺仕事人の元締 鹿蔵役は中村鴈治郎さん。中村玉緒さんのお父上です

『必殺仕事人』第1話 中村主水を再び闇の稼業に戻そうとするも、尻込みする主水にしみじみ言う ――

三途の川の水音がすぐ側で聞こえるようになってくると人は皆昔のことを考えるものだ「わしは何をやってきた、今までわしは何をやってきたのだ」とね。
そんな時冥土へ持って行く土産がないというものは酷く寂しいものなんだ。
中村さん、お前さんは気の毒なお人だ。何もかも失くしてしまったらしいが、わしにはある ――
胸を張って冥土に持って行く土産がね。
これだ!この手はかのう屋(第1話に登場する悪党のこと)を殺った手だからよ!
(『必殺仕事人』第1話 より)

粋であることこの上なし。
闇の稼業に生きる業に痺れて、完全に殺(や)られてしまったのだった。
幸い、DVDやVHSのソフトも手元にあるのでしばらくドップリと浸かるとしようではないか!

白昼の死角 ― 狼は○○、豚は△△!

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狼と豚。無二のキャッチコピー


小学校高学年か中学の頃かな…原作本を読んだのですが、手形割引の意味がわからなくて辞書を引きながら読みました。
確か500ページほどあって、もしかしたら半分くらいのところで挫折したかもしれません。
(確かな記憶はないのです)

狼は生きろ、豚は死ね

大胆なキャッチコピー。
今だったら、差別だなんて騒がれそう ――
きっと、騒ぐだろうね…
あー、ヤダヤダ。

白昼の死角

監督: 村川透 / 製作年:1979年

ストーリー
タフな男、鶴岡七郎(夏八木勲)を中心に金融会社「太陽クラブ」の残党たちが法の目をかいくぐって手形詐欺を働き成功して行く。
最初成功はするが、やがて騙された者以外にも友人や愛人と...身内たちも次第に不幸に見舞われて行く。

キャスト
    鶴岡七郎   / 夏木勲
    九鬼善司   / 中尾彬
    木島良助   / 竜崎勝
    隅田光一   / 岸田森
    鶴岡の情婦 綾香   / 島田陽子
    太陽クラブ事務員のちに鶴岡の妻 藤井たか子   / 丘みつ子

当時は角川映画おなじみの宣伝が功を奏してヒットもした。
この映画は劇場には出向かなかった。のちにVHSで視聴した...と思う。
(このあたりの記憶が曖昧だ)
ラブシーンの時に流れる音楽、なんとかして!
夏八木勲のネチっこいラブシーンがどうしてもダメ!!
―― という細々とした記憶が蘇ってくる。
ソファでブランデー片手に ―― みたいな劇中流れる音楽、中途半端なコメディ要素も時折加わる、『あの頃感』を感じる。

鶴岡(夏八木勲)が仲間3人と違っていたのは、“お金”は目的ではなく、法の隙間をかいくぐってどこまで悪になれるかという、謂わば悪を極める挑戦者だったということ。

法ハ正義デハナイ
法ハ力デアル
私ハソレヲ証明シテミセル


本作の冒頭に掛かってくるのだ。
鶴岡の仲間たちや騙される側の人々の精神が脆弱だったのに対し、正義ではない法に立ち向かいその目的を果たすためだけに生きる鶴岡は精神も半端なく強靭だ。
隅田(岸田森)が火だるまになりながら、狂って踊り歌を歌う冒頭のシーン。
対してラストでは鶴岡が火だるまになるのではない。
彼はしぶとく生き延びるのだった。
まさにピカレスクドラマだ。
自分が幼い頃から木島を演じた竜崎勝のファンだったが、竜崎さんって元フジテレビアナウンサーの高島彩の父親なんだってねー!
ほんと、ビックリしました!!

gifted/ギフテッド ― 泣ける、学べる素晴らしい映画

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子役、動物、最強!


改めて思い知らされましたね。
だって、キャプテンアメリカが霞んでしまうんですもの。
夫婦、そして親子で見ても楽めるよい映画でした。

特別な子供も普通の子供も育て方の基本は同じなんだなぁ ――
子育てについて深く考えさせられる作品でもありました。

gifted/ギフテッド

監督: マーク・ウェブ / 公開:2017年

ストーリー
独身のフランク(クリス・エヴァンス)は7歳の姪 メアリー(マッケンナ・グレイス)と片目の猫フレッドとフロリダの小さな町で平穏に暮らしている。
メアリーが学校に行くようになって天才的な能力があることが担任 ボニー(ジェニー・スレイト)にばれてしまう。
フランクはメアリーに普通の子供と同じような環境で育てたいと考えていたが、母エブリン(リンゼイ・ダンカン)はメアリーに特別な英才教育を受けさせようと画策する。

マッケンナ・グレイスちゃんが超超カワイイっ!
近所のおばちゃん(オクタヴィア・スペンサー) がお友達。
聴いてる音楽もブラックミュージックだったりするところで
ペーパーボーイ 真夏の引力」を思い出すのだ。

via GIPHY

キャスト
    クリス・エヴァンス - フランク・アドラー
    マッケナ・グレイス - メアリー・アドラー
    リンゼイ・ダンカン - イヴリン・アドラー
    ジェニー・スレイト - ボニー・スティーヴンソン
    オクタヴィア・スペンサー - ロバータ・テイラー
    グレン・プラマー - グレッグ・カレン
    ジョン・フィン - オーブリー・ハイスミス
    エリザベス・マーヴェル - グロリア・デイヴィス
    ジョナ・チャオ - リジュアン
    ジュリー・アン・エミリー - パット・ゴールディング
    キーア・オドネル - ブラッドリー・ポラード
    ジョン・M・ジャクソン - エドワード・ニコルズ
    フレッド - フレッド(ペットのネコ)

スタッフ
監督     マーク・ウェブ
脚本     トム・フリン
製作     カレン・ランダー アンディ・コーエン
撮影     スチュアート・ドライバーグ
配給     フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(アメリカ)
20世紀フォックス(日本)
公開    
2017年4月12日(アメリカ)
2017年11月23日(日本)


タイトルである「ギフテッド」
ギフテッド(英: Gifted, Intellectual giftedness)は、先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を持っている人のこと。または、先天的に、平均よりも、顕著に高度な知的能力を指す。
Wikipediaより)

というわけで、類い稀な能力を持つ人のことです。
メアリーの母親 ダイアン(フランクの姉)もギフテッドであり英才教育を受けていた―― いわば母親 エヴリンのいいなりになっていたわけです。
ダイアンも長い間母親との軋轢に耐えながら“ナビエ–ストークス方程式”を解くために頑張ってきましたが、ある日娘を弟フランクに託して自殺してしまいました。
おそらく人生の意味だとか、逃れられない状況だとかを憂いていたのかもしれません。
ギフテッドと呼ばれる人たちは、知能が高いだけに鬱になりやすいそうです(wikipediaより)。
劇中でエヴリンが言ってたように、特別な人間は自分の生活を放棄してまで社会に貢献しなければならないのでしょうか ――
考えてしまうところですね。
子供にとっての幸せとは ――
まずはそれを考えて自分で選択させるような人間に育てることが親としての使命なのかな...ってしみじみ感じました。
親は我が子に温床を与えるだけではダメ、心を育てていかなくてはいけないんだよ。
「子供のためを思って」していることは、実は「親自身のため」ではないですか?
子供を親の都合のいいように育てていませんか?
うーん、難しい ――
自分も含めた世の親に「子供をどう育てるか、どう向き合うか」を問いかける一本でした。

(2018年1月10日(水) フォーラム那須塩原 シアター7にて鑑賞)


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